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アラビア語は右から左へ

アラビア文字を見たことがある方は皆異口同音に「これは文字ですか?」と言います。ミミズがのたうっている様な文字に見えるようですが、ちゃんと一つ一つ独立した文字があって、単語を形成するときには繋がります。それは英語の筆記体も同じですね。ただ、大きく違うことは右から左へと書いて行くことです。ですから、右利きの方が黒板に文字を書いていくと、自分の手で消していってしまうという不都合な面もあるようです。アラビア文字の飾り文字は美しい唐草模様のようで美しいフォルムですが、漢字の国との共通点として習字があるということが挙げられます。アラビア語とペルシャ語は同じ文字を使っていますが、ペルシャ語は全く異なる言語形態に属します。 アラビア文字は全部で29文字あり、その内母音は3文字です。あいう、この3つしか母音はありません。でも、ショクラン(ありがとう)のショの母音は「お」ではないのか、という疑問がわき起こります。正しく発音すると、標準アラビア語はショクランではなくシュクランなのです。普確かに普段アラブ人達が話す言葉を聞いていると、「え」も「お」もあります。これはどういうことかと言いますと、所謂方言というものなのです。アラビア語には「フスハー」と呼ばれる標準アラビア語と、「アンミーヤ」と言われる方言とがあります。エジプトにはエジプト方言が、湾岸には湾岸の方言があります。例えば挨拶の「お元気ですか?」は標準アラビア語では「カイファ ハールカ?」と言いますが、エジプトでは「イザイヤック?」、シリア・ヨルダンでは「キーファロック?」、湾岸では「シュローナック」、モロッコやチュニジアでは「コマンサバ」と言った具合に、国によって全く異なります。コマンサバに至ってはアラビア語ですらありません。フランス領でしたので、フランス語のComment ?a va?がそのまま挨拶の言葉になってしまっているのです。 アラビア語を母国語とする国は沢山ありますが、日本でアラビア語を勉強して行っても多分通じません。正確に言うと、現地人は標準アラビア語を聞きとれますが、現地人の話ている言葉が全く聞き取れません。というよりも、聞き取れたとしても意味が解らないのです。なにしろ習った言葉とは全く違う言葉を話しているのだから、仕方がありません。彼らにしてみれば、標準アラビア語は時代劇の日本語のように畏まっていて、「わらわは××でござる。そなたは名はなんと申す」と言うくらい、相当滑稽な感じがするそうです。それから、イスラム教徒同士の挨拶としては普通のものでも、異教徒が使うのはどうかと思う言葉もあります。例えば「アッサラーム・アレイコム」はアラビア語を習うと最初に覚える挨拶の言葉です。これに対しての返答が「ワ・アレイコムッ・サラーム」となるのですが、意味は「こんにちは」だとしても、直訳すると「あなたの上に平安あれ」「あなたの上にも」となるのです。外国人である我々が「こんにちは」と言いたい場合は、「アハラン・ワ・サハラン」で良いと言われたことがあります。やはりムスリムでもないのに宗教色の強い挨拶をするのは、現地人から見てもすこし不自然に感じるようです。

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